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2014年9月12日 エレファントカシマシ(エレカシ)Zepp ダイバーシティ東京

エレファントカシマシの2年3ヶ月ぶりの
全国ツアー初日に行って参りました。
アルバムのリリースと無関係な
ツアーはいつ以来かわからないくらいに
久々で、貴重な一夜を本当に
楽しみにしておりました。

1 俺の道

宮本さんがギターを肩に掛けずに、
マイクを手にしたので、どの曲から
始まるのかなと、息が止まるような
緊張と期待を味わいながら、
ステージに目を凝らし、
耳を澄ませていると、
冨永さんへの合図からの
『俺の道』でコンサートがスタート。


渇望という言葉で表現できない
くらいに乾ききった肉体の中から、
静かに魂が燃えながら
浮遊しているような、石森さんの
ギターリフと、ドッシリとした重低音を
波のように唸らせる高緑さんのベースと、
冨永さんのパワフルかつ繊細なドラムを
バックに、俯きながら集中力と高めながら
ハミングとセリフを口から漏らしていた
宮本さんが【さぁ行くか!】と、
顔を上げる。

ステージにいる生身の宮本さんから
放たれる言葉とシャウトの一つ
一つが鋭く優しく突き刺さって、
解き放たれた生命力と飢えが
伝染してくるこの感覚が、
エレカシのステージを
この目にしていることを
実感させます。


非日常的な感情の振り切りに、
退屈でやるせない日常と
闘うための活力が湧き上がり、
魂が沸騰するような感覚。
音とシャウトの爆発の
移ろいには一瞬も
目が離せませんでした。


【本当は愛してやまない この毎日を
いい加減に過ごすのは やめなよ】


2 この世は最高!

宮本さんがエレカシ流のグランジと
称するこの曲。生演奏を
ようやく聴けました。


前のめりで、抑圧感をあざ笑うように
奔放で狂気的な
歌いっぷりが素晴らしい。
桜の花舞い上がる武道館での
ティクが、まだ手探りな感じだった
ように思えるほど、パワーアップを
感じました。石森さんと高緑さんが
コーラスで参加。この曲は
冨永さんもコーラスして欲しいです。


3 地元のダンナ

ライブアレンジのイントロが、
全レパートリーの中でも
随一にカッコ良く、
興奮が高まりました。
この曲も常に最新の
テイクが最高だと
確信できるほど、
底なしに更新されていく曲です。


冨永さんはアドレナリンが
高まりすぎてベロを出すほどの
気迫。宮本さんとの息もピッタリ。
突貫する猪のような
迫力のドラム。

終盤では、【地元のおじさん、
地元のおばさん、地元のお嬢さん】と
地元のご近所さんを紹介。
そして、お猿さんのような
表情と動作で大見得を切る。


4 悲しみの果て

【そんな悩まずに(選曲したけれど)、
でも、いっぱい曲があるで、楽しんでってくれ!
みんなに捧げます】

歌唱力や歌が上手いという
表現では全く持って足りない、
別格のスケールの歌声。
宮本さんの小さな身体の後ろに
巨大なにかが見える気がしました。

毎回のように演る曲ながら、
初めて味わう感覚でした。
同じ曲も毎回必ず、
絶対に違うんです。
だから丁寧に聴きたい。


5 甘い夢さえ

宮本さんに煽られ、
ステージ中央でイントロの
ポップなリフを思いっきり
掻きならす石森さん。


『四月の風』にも通じるような、
宮本さんの前向きさ楽観と
いつものように【オレはやるぞ】、
【オレは勝つ】とつぶやいて
己を盛り立てていく感じが、表れた1曲。


堅実で現実的な目標もいいけれど、
甘い夢ほど何よりも輝く時が
あるっていうフィーリングと、
曲の祝福感が素晴らしい。
今、このタミングで演奏してくれたことが、
嬉しいです。今回のセットリストの中で
良いフックになっていたはず。

エレカシの場合は、ライブで
聴いて、その曲の本当の良さが
初めてわかる、再発見の喜びが
あってそれが醍醐味の
ひとつなのです。


6 さらば青春

美しい裏声のハミングと、
【毎日、毎日、さらば青春。
思い出って何でこんなに美しいんだろう】
という言葉からの『さらば青春』。


肌を刺すような冷たい風と薄暗い
街の景色が浮かんできて、
この曲の間は季節が冬に
変わるようです
思い出は美しくて、悲しくて、
儚くて、根深いっていうことを感じます。

初めて聴いた時はあまりに他人事に
しか思えなかった、喪失の経験を
経験してからは、大好きな曲になりました。

30代の頃とは違う48歳の
『さらば青春』でした。


7 デーデ

カウベルの音が鳴り響く中、
【ずっとお金持ちになりたいと思ってるけど、
中々上手くいかねぇんだ】という言葉から、
デビューシングルへ。

この曲を歌うときの宮本さんの
表情と声は一段と若がえります。
曲の内容と裏腹に澄んで輝く眼光。
ブルースという言葉が、
似合う1曲。

最後の【金があればいい】から、
溜めに溜めてもう一度
【金があればいい】で〆


8 パワー・イン・ザ・ワールド

地底から湧き上がるような
轟音と血が湧き出るような
激情に、頭を空っぽにして身を
委ねて聴いた1曲でした。

傷ついて、やりきれなくても、
飽きたらずに何度でも
立ち上がって突っ走る
人間の強さこそが、
花だっていう、素晴らしい曲。
覚醒の感覚が呼び起こされます。


9 化ケモノ青年


登場人物が変わるごとの
歌声の変化が素晴らしい。
父(傍若無人)、お母さん(「いつもの
ことよ】とロボットっぽい冷静さ)、
化ケモノ青年(悩みましい日々の中で
苛みながらも真理を掴む若者)という
感じでした。さすがは、
演技派ロック歌手宮本浩次。

【「そう人生の役割演じられぬヤツはクズ」】だの
後に、地団駄を踏みながら目を閉じ思いっきり
首を横に振る宮本さん。
そこから卑猥なモノの右往左往を、
ジェスチャー付きで自然に歌う。


1曲がひとつの舞台のように
濃い1曲でした。
最後はステージ中央に
幅跳びのように
思いっきり飛び込んで終了。

宮本さんが【変な曲】と
他人事のように言っておられましたが、
それだけ定形にはまっていない
不思議で革命的な1曲です。


10 ハロー人生!!

【やってやるぜ】という
気合の声から、この曲へ。

初めて生演奏を聴いた、
2011年の水戸ライトハウスの
記憶が蘇ります。
【ハロー人生!!】の
部分は身体が千切れるくらいに
声を出して歌いました。

リリース当初よりも、今のほうが
飢えと気迫が圧倒的に
増していました。まだまだやって
やる生きてやるという宣言は
言葉じゃなくて曲で伝えてこそ。


11 星の砂

石森さんのギターの
弾きっぷりが凄まじい。
サビでは高緑さんの
位置に移動して、
一緒のマイクでコーラス!
嬉しそうで、照れくさそうな
良い表情が微笑ましい。


作ったのは30年以上
前の曲なのに、秘密保護法のことを
歌っているように響きました。
敢えて抑圧してる権力側の視点に
立つことで、その狂いぶりと
滑稽さを炙り出す、ソングライティング
力には鳥肌が立ちます。


12 珍奇男

男椅子にミヤジ流に
座り、イヤモニも外し、
定番の1曲へ。

単純なコードを
ストロークしているのに、
何故あんなに胸が抉られるような
音が出せるのかと震えてしまいました。
演奏がどう転がっていくか
わからないスリルがたまりません。
石森さんのギターが特に
良かったと思いました。


13 武蔵野

【昔、ここらへんは
海だったんですかね。】という
言葉があったので、『遠い浜辺』かとも
思いましたが、かつての武蔵野の
風景への郷愁を歌ったこの曲でした。
ライブハウスでの演奏は2006年以来。

イントロのドラム、大サビでの
ベースが素晴らしい。
この曲はエレカシの
リズム隊の持ち味が最高に
発揮されますね。石森さんの
叙情的なギターもカッコいい。

宮本さんの作る曲の中でも
筆頭にくるくらい、繊細で
美しいメロディと歌詩で、
聴いていると、見えないはずの
昔の東京が見えてくるようで、
名曲です。


14 飛べない俺

キーボードの位置に
移動する宮本さんに
期待の歓声があがりました。
【(コードを弾きながら)これしか
弾けないんだけど。蔦谷(好位置)君とか、
sunnyが弾くプロ仕様のやつで、
恐れ多いんですけど。『MASTERPIECE』という
割りと最近のアルバムから聴いてください】


ここで初めて、ユニバーサルシグマの
曲がきました。キーボードは実に
宮本さんらしい技術よりも感性が
先立つ音色で。キーが高い曲ゆえ、
マイクを両手に掴んで歌うので、
キーボードがお留守になるという
予想通りの状況に度々なっていました。
声が掠れる瞬間もまた良いです。

【俺の魂がしみ込む街】という、
詩は本当によく書けたもの
だと思います。その言葉と出会って初めて
味わう感覚とイメージがありました。


15 笑顔の未来へ

宮本さんの美声ぶりが
際立つ1曲。バラードの後だったので、
いつもほどの盛り上がりがなかった
気もします。

16 あなたへ

【恥ずかしいんだけど、復帰して
最初のシングルで、歌詞が
凄く好きで、聴いてください】と
さいたまスーパーアリーナ
以来の『あなたへ』を披露。


「私」っていう言葉の
まろやかさが、エレカシらしくない
気がしてしまうのですが、
この日はそれを感じないくらい、
凄みのある歌でした。

親子とか遺伝子について
歌っているのかなと
思いましたね。意外と
『地元のダンナ』にも
通じるような気がします。

ヒラマさんのアコギが
美しく力強かったです。


17 新しい季節へキミと

最初のセッションを聴いた時は、
『明日を行け』のライブバージョンの
イントロなのかと思いました。

【人生はまだまだ長いぜ。新しい季節へキミと、
一緒に行こう】

毎日、忙しなく生きていると、
なかったことのように
しまいそうになる戸惑いとか悲しみを、
ちゃんと詩にしてくれることが本当に
誠実だと感じます。いろんな複雑な
感覚が絡み合っているからこそ、
ポップになっていて、ライブだと
演奏の無骨さが増して、
この曲は生まれ変わりますね。
今までの新しい季節で
一番良かったです。


18 ズレてる方がいい

始まった瞬間に、
若い男性ファンの
二人組が顔を見合わせて、
ようやくきた!という
表情をしていました。
最近の曲で新しいファン
生まれたというのは、
エレカシのファンとして
嬉しいです。

『花男』とか『so many people』
とかと同じことを歌っているんですが、
ちゃんと新しい表現法にはなっていて、
根幹はブレずに変化し続けているのが、
そこがエレカシの素晴らしさですね。


19 ガストロンジャー

アンコールの定番という
印象なので、この位置での
『ガストロンジャー』は
やけに新鮮でした。

【自問自答の末 また結論しました】の
後に、『一万回目の旅のはじまり』の
一節を歌う宮本さん。

ベース強奪奏法や、キーボードを
弾くことがなかったので、やや
コンパクトで引き締まった
ガストでした。


20 明日を行け

凄まじいバスドラの連打と、
タイトなギターリフから、この曲へ。



21 Destiny
【最後は敢えて最新の曲で。
今日はしゃべると緊張感が無くなっちゃうんで、
なるべく曲で(伝えよう)と思ってやりました。】
本編最後はこの曲でした。

【明日も生きてくつもりさ】の
後のそうだよな!という声に
胸が揺さぶられました。
リリース前にJAPAN JAMで
聴いた時の、完成度の高さには、
嗚咽して感動しましたが、
各地のイベントで演奏する中で
よりこの曲が育っていることが
はっきりわかりました


【悲しみのあと人は立ち上がる】の
ところで歌詞が飛んで、咄嗟に
【輝く魂で立ち上がる】と
歌ったのもまた良いです!


22 今宵の月のように

みんな飽きてるかもしれないけど、
凄く好きな曲なんですという
声が聞こえてそうな表情と
素振りからこの曲へ。

歌いだしの部分をキーを下げて、
時折アカペラで歌ってから、
正式な歌いだしへ。

この曲も
個人的には何度でも演って
欲しい曲です。
いつまでも、【いつの日輝くだろう】
と歌い続けてくれたら嬉しいです。

23 シグナル

【古い曲で、横浜のランドマークスタジオ
というところで録った曲で。佐久間(正英)さん達と
一緒に。40になったころの曲なんで、
もう7,8年前の曲です。】

歌が、もの凄く真っ直ぐで、
本当に丁寧で歌詞の情景や
込められてる感情がスーッと
イメージ出来ました。サビの
【どのみち俺は道半ばに命燃やし尽くす
その日まで咲きつづける花となれ。】と
歌うときの姿は心に焼き付けられました。
名曲の名演です。


24 ファイティングマン

アンコールとはいえ、
3曲目に『ファイティングマン』が
くるのは良い意味で贅沢な感じがします。



25待つ男

前回のツアーでは
最終日以外やらなかった
ダブルアンコールがありました。

【高緑、はやくしろ!】と
待てない男状態の宮本さん。

唯一、この曲しょっちゅう
演り過ぎじゃないかと
思ってしまった曲でしたが、
実際にはちゃんと最新の
『待つ男』になっていました。

『化ケモノ青年』と
同じように、感情の
静から動への激しい
移り変わりが見事で、
クライマックスにきて、
この日一番の
やけくそな瞬発力を
爆発させる宮本さん。

素晴らしいツアー初日でした。
『俺の道』、『地元のダンナ』、
『星の砂』、『珍奇男』、
『新しい季節へキミと』などは
この日が今までで一番良かったと
感じました。

私の感想ではまったく
表現できない。当たり前ですが、
その場でエレカシの姿を
観て、音を味わう以上のものは
ないです。景色の見え方が
塗り替わるような心の震えを
上手く言語化出来ないことが
本当に悔しいです。でも、
この日の記憶を大事に
温めてエレカシに恥の
ないように生きていきます。
by kaze0929 | 2014-09-13 17:38 | エレカシ