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2014年1月27日 エレファントカシマシ 『SONGS』


エレファントカシマシの文字通り紆余曲折の
連続であった25年の歴史を限られた枠の
映像メディアで満遍なく伝え得ることは
困難極まりないことであろう。

エピックからのデビュー。
圧倒的で異端な音楽性と
観客不在の堂々たる
ライブパフォーマンス。
新人とは思えぬ悪態を観客に
向ける宮本浩次の恐るべき
存在感。


その後のセールス不振による
エピックとの契約切れ、
事務所の解散。下北沢シェルターでの
月1ライブ活動を経て、
2社目のレコード会社
ポニーキャニオンと契約し、
CMソングに使われた
『悲しみの果て』でブレーク、
初のドラマ主題歌となった
『今宵の月のように』で大ブレーク。

近年のトピックであり、
最初の契約切れに次ぐバンドの
危機とも言える、宮本の
急性感音難聴による
ライブ活動休止(事実上の活動休止)
からの復活。

30分という短い時間
密度の濃い歴史の
一部を端的に伝える番組を
作り上げ、全国に放映した
NHK『SONGS』の仕事は
想像以上に素晴らしい物でした。


視聴後に多少の物足りなさを
感じることをうっすらながら覚悟していた
部分もありましたが、
硬柔が絶妙に編集されたトークと
野外撮影部分。新人バンドのような
初々しい煌きと前のめりにギラついた
気迫と緊張感、エレカシと曲が一体化しているか
のような肉体性と熱量を感じさせる演奏は、
多くのファンにとっても予想以上の
スタジオライブであったのではないでしょうか。


『悲しみの果て』の見事な歌い出しを聴いて
慄きながら、エレカシが
また黄金期を更新していることを
思い知らされました。


宮本さんがバンドで音楽を
演っている時は夢の中で
生きているような感覚だと
話されていましたが、
そう言い切れることが
エレカシがここまで続いてきた
ことの最も大きな理由なのかもしれません。


番組の最後に演奏された曲は現在の
所属レコード会社ユニバーサルシグマ
移籍第一弾シングル『俺たちの明日』でした。
98年以降セールス動員共に落ち込む一方で
あったエレカシを再びブレークさせた1曲であり、
それ以前からのエレカシの歩みや歌い続けてきたメッセージが
凝縮された、40代以降のエレカシをここまで
導き、ファンとの結びつきを過去以上に
強いものにすることを成し得るきっかけを
生んだ1曲です。


宮本さんがこの曲では珍しく黄色い
ストラトキャスターを弾きながら
歌ったこの曲は、曲の持つ優しさに
振れぎずロックバンドらしい尖りのある
渾身の『』俺たちの明日でした。

『悲しみの果て』や『今宵の月のように』は
宮本さんの30代、40代のどちらの歌声でも
成立しうるけれども、『俺たちの明日』は
40代以降の宮本さんの歌でなければ
成り立たないのだと、ごく最近革新しました。


『THE BEST 2007-2012 俺たちの明日』の歌詞カード
の宮本さんによるセルフライナーノーツから、
『俺たちの明日』について書かれた箇所を一部
引用してこの駄文を終えます。


【(前略)この曲は悲しみや怒り憤りといった感情を、
いわば直球で投げかけてきた今までの俺達の表現の
スタイルを踏まえて、はじめててらいなく明快に弱さや
やさしさを表現することに成功した曲であったことを、
つまり齢四十になった俺たちが今までの人生を踏まえて、
新しい希望の歌としてこの曲を世に問うたのだということを。
さあ頑張ろうぜ!
「俺たちの明日」の冒頭で叫ばれるこのメッセージがもう三十年に
もなるバンドの歩みの、いや今を生きている男達の結局
辿り着いた一つの境地だったのである。】



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番組開始6秒後。


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外見が女性のように見えることも


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演奏している時はも少年のような47歳。
by kaze0929 | 2014-01-27 10:36 | エレカシ