1.夢のちまた

前日とは違い宮本さんはハンドマイク
スタイル。頭のなかでどの曲が
演奏されるのか予想をしていたら、
合図を受けた石森さんがレスポールで
あのイントロを奏ではじめました。
去年のさいたまスーパーアリーナの
1曲目『sky is blue』のイントロが
流れた時とはあきらかに違う種類の
どよめきが客席からもれる。

この曲は日比谷野音の1曲目に
演奏される(屋内会場ではめったに
演奏しない)イメージが強かったのですが、
初の武道館公演の1曲目にも演って
いたんですね。

1曲目して堂々たる歌いぶり、
レコーディングティクを再現するような、
「フッ!」という不適なため息と緊張感に
満ちた間合いが、前日とは異なる
鋭い空気が武道館に流れていく。


2.DEAD OR LIVE

冨永さんのドラムさばきが機運を高め、
宮本さんのギターに石森さんのギターが
重なっていき、無骨なバンドサウンドが
展開される。

1曲目に『夢のちまた』、2曲目に
『DEAD OR ALIVE』という並びは
非常に意味深い選曲に思え、
感極まるところがありました。

登場人物が部屋の中にいて、
思いに耽るという状況は重なるが、
その心情はあまりに異なります。

「世を上げて 春の景色を語るとき 暗き
自部屋の机上にて 暗くなるまで過ごし行き
ただ漫然と思いいく春もある 」


「明日は晴れか
雨になるだろうか
明日こそは町へくりだそうか
明日になればわかるだろう
明日もたぶん生きてるだろう

春の一日が通り過ぎていく
ああ今日も夢か幻か ああ 夢のちまた」


武道館3000人限定武道館の1曲目で、
浮世を笑い、背を向ける若きに
似合わない達観を歌う
『夢のちまた』。

「もう何時間も部屋の中にいて 移ろい易き時を
ただ茫然と過ごしていた ああ 電気をつけて
まだ生きている まだ進んでる おもむろに
俺テレビをつけた 暮れゆく空 」


「本当は何も変わっちゃないのに
この町や人が変わりゆく景色に見えるのはなぜ?

終わりなきこの時の向こうに
本当は ただただ俺の心が傷付いただけ 時を重ねて
(消えゆくこの身に光を見たんだ)

男はひとりゆかなきゃならん時がある
今がその時 終わりなき明日の向こう…
奈落の底まで 堕ちてく生命」


「信じろ、この世はすべてがステージ 」


弱さと焦燥をさらけ出し、歯を食いしばり、
抗う決意を叫んで刻みつけるような
『DEAD OR ALIVE』。動員の減少により
武道館から撤退した
翌年に、バンドの原点に立ち返って4人で
作った(ミニ)アルバムのタイトル曲。
この2曲が満員の武道館で演奏
されるのを聴くと、エレカシの
只ならぬバンドヒストリーを
思って涙がこみ上げました。

7.おかみさん

演奏の前に「構想10年くらい、
何年か前に完成しました」
という
宮本さんの言葉が。歌詞や
サウンドの印象から『good morning』の
頃からあった曲に思えます。

高緑さんのベースが火花のよう。
この曲と『ジョニーの彷徨』、
『明日への記憶』のようなダイナミックで
影がある曲は、ライブバンドエレカシの
真骨頂を感じました。

8.風に吹かれて

98年の武道館のコンサートタイトルにも
使われたこの曲。

「あたりまえに過ぎ行く毎日に
恐れるものなど何もなかった
本当はこれで そう 本当はこのままで
何もかも素晴らしいのに」


このままで素晴らしくても、このままで
留まらせてくはくれな人生の不条理を
美しく切り取った歌。

12.リッスントゥザミュージック

金原千恵子さんと笠原あやのさんが
参加。金原さんの武道館のステージを
舞い踊るような弾き姿と旋律に
魅せられました。


14.普通の日々

2012年の新春ライブ以来の
この曲。

「普通の日々よ どよめきもなく 後悔も悲しみも
 飲み込んでしまう時よ」


2002年の曲ですが、
震災の後に作ったかのような歌詞。
『悲しみの果て』やこの曲のように、
わざとらしさのない身と経験か
から自然とでてくる優しさを
持った作品にはあらゆるものを
こえていく普遍性がありますね。



17.赤い薔薇

宮本さんの高音、石森さんのスライド・ギターが
絶好調。

毎日傷を増やしている冴えないろくでなしも、
赤い薔薇なんですね。宮本さんの持つ
最終的には楽観に至る自虐という
表現の核は他の作品にも通じますが、
30代前半だからこそ書けた歌詞でも
あると思います。武道館映えする名曲。



19.I don’t know たゆまずに

2008年の新春ライブ以来となる
この曲。『エレカシ自選作品集
EMI 胎動記』の最後を飾る1曲で、
『DEAD OR ALIVE』からの
苦闘を抜け出るような、確かな
希望を感じます。


演奏が進むにしたがって
盛り上がりが加速していくライブの
生き物感がありました。

30.FLYER

間奏の石森さんのソロを
宮本さんが弾いてしまったので、
石森さんは下がりながら不貞腐れ気味に
ギターを弾く。



33.平成理想主義

メンバーがサウンドチェックをその場で
行い、レコーディングティクの冒頭を
再現。復活の野音2日目の最初の曲だった、
この曲を聴いた(観た)時に宮本さんの
動きが完全に戻ってると思ったのですが、
宮本さんの動きはあんなもんじゃなくて、
もっと自由で予測不可能なものでしたね。
うさぎ跳びや土俵入りまでみせるとは。

34.笑顔の未来へ

宮本さんが泣いていたことに
気付かず、声が出ない序盤から
後半で盛り返したという風に
思ってました。

36.涙

ストリングスチームとエレファントカシマシの
皆さんを帰して、宮本さんだけステージに
残っての弾き語り。「何がいいかな?」と
いいつつ、結局定番に落ち着きました。
ギターの音程が合わないまま、
最後まで押し切ってしまう不均衡ぶり。

捌けていく時の、
「うまいものでも食って帰ってくれ」
「うまい棒でも帰ってくれ」に空耳。


37.待つ男

新春ライブの本締めと
いえばこの曲。エレカシ火山、
ミヤジ火山大噴火という風に、
ここ一番の瞬発力を最後に
出してくるこのバンドは恐ろしいです。
心臓を鷲づかみして揺すられるような迫力。


WOWOWの生中継があった上に、
初日と記憶が混じってしまっているので、
記憶に色濃く残ったことを絞って書きました。

2日とも甲乙つけがたいですが、選曲面と
バランスの良さで初日を推します。
新春武道館は華やかな内容という
ほど単純ではないですが、ドスの
きいた性格の渋い曲は少なく、
本質的にポップな曲が多かったです。
日本武道館2daysを満員にできる、
ベテランのロックバンドなんてそうは
いないですよ。宮本さんの連載を
書籍の『東京の空』のインタビューで
「(武道館は)6000人
入ればカッコはつくっていわれたけれど、
それさえも入らなくなった」

いっていた頃をおもうと奇跡のようです。
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# by kaze0929 | 2015-01-16 23:07 | エレカシ

前回の新春武道館公演(2011年)は、アルバム『悪魔のささやき』の
収録曲が初めて全曲演奏されたライブであり、ユニバーサルに
移籍してからその時点までのキャリアを総括するような
内容でした。それから4年ぶりとなる、今回の新春武道館。
昨年のツアー、日比谷の野音、小さなライブハウスの
記念公演を経て、新曲を出さずにむかえた、初日。
さいたまスーパーアリーナ公演の時のように、25周年のダイジェストという
テーマ(縛り)からも自由であるだけに、
エレカシがどんなステージを観せてくれるのかという、
想像と期待が昨年以上に膨らみます。


1. 部屋

エレファントカシマシ(S)の6人が
ステージに登場。宮本さんが
黒のストラトを肩にかけながら、
「僕の部屋にくるなら地下鉄の
ホームを出て 目印はあのレストラン」

歌い出すと!客席からは自然などよめきと、
喜びに満ちた歓声があがる。


武道館の1曲目は、小林武史さんと組んで
ニューヨークでレコーディングしたアルバム
『ライフ』からのナンバー。
2002年の11月に、今はなき渋谷AXで
演奏して(昨年のツアーの2日めに
さわりだけ弾き語りして)以来の
『部屋』。この選曲は、
意外性と待望の成就という
てんで、最高の1曲目でした。


かつては、歌詞を過去形に変え、
1人称を僕から俺に変え、
憎々しげに歌っていて、
その後は長らく封印していた
この曲がついに聴けました。


優しい美声と身体の底から
響かせて、空気を揺らすシャウトへの
移り変わりに魅せられた3分間。


「町はずれ小さなこの部屋」というのは、
宮本さんの立っている場所や存在の
比喩かもしれないとも思いました。


2 .はじまりはいつも

2010年のZEEP TOUR以来
となるこの曲。『sweet memory~
エレカシ青春セレクション~』という
売れたCDに収録されている(94年の
アウトティク)曲とはいえ、
かなりマニアックな曲を持ってきて、
勝負する心意気に興奮。

リズムの変化や、ヴォーカルディレイ、
演奏のブレイクなど、アレンジの凝り
具合が面白い1曲。蔦谷さんのキーボードの
存在感も際立ちます。

【 始まりはいつも 静かなものだった
見えざるその毎日に 何かが始まってる】


正月ボケのカラダとドタマが
目覚めていきました。


3. ココロのままに

宮本さんのギターから、
またもや久々となる、
ポップなギターロックナンバーを。

宮本さんの【1!2!3!4!、石森、行け!】から、
石森さんの贅肉のないシャープで男前な、
ギターソロへ。曲の佳境では冨永さんのソロもあり。


4. 今はここが真ん中さ!

前の曲から間髪入れず、ギターも降ろさず、
宮本さんがカウントを叫び、祝祭のような
イントロへ。初日も2日目も、この曲がはじまった
途端に、武道館が一気に熱狂に包まれていく光景は
壮観でした。とにかく曲で伝えようという、
いつもと変わらぬ心意気が伝わりました。


間奏ではヒラマさんの肩に
手をやりながら【ギター!ミッキー!】
【今は武道館がど真ん中!】
歌詞替えもバッチリ。


5 .悲しみの果て

お馴染みの【みんなに捧げます】から、
この曲へ。エレカシにとって、
もっとも身体に染み付いているのは
この曲かもしれません。


6 .デーデ

宮本さんが(カウベルの音をバックに)、
「この世で一番偉大なものは
何だかわかりますか?これ自分で予言していました。
この世で一番偉大なものはお金です!
今年はヒット曲を狙うぞ!今年は、稼ごうぜ!
エビバデ!オーケー、石くん!」


この演説をする宮本さんの表情や
声色は終始、信じがたいほどピュア
なものでした。「世界から
貧困をなくしたい」をなくしたいと
語っていても、その人の目が濁っていたり、
不穏なオーラを漂わせていたりすれば、
本心を疑ってしまいますし、言葉以外の
部分にこそ、その人の本質的な部分が
表れるのではないかと思います。
私は宮本さんっていい人なのだなと
改めて思いましたね。

この曲をRJFで演奏する前に、「誰か俺に1000万円
くれないか!」
と他力を求めるように
叫んでいた10年前(2005年)を思うと、
中々感慨深い、デビュー曲にのせた
所信表明だったと感じます。

これといったプロモーションなしで、
武道館2日とも満員になったということで、
利益率的にも幸先のよい稼ぎはじめになったの
ではないでしょうか。


〆は演奏を静止してからの
「金があればいい!」

7 .パワー・イン・ザ・ワールド

「俺は久しぶりに発見しました……(しばらく
言葉に詰まる)、山手線のなか
行くてはまだ先だ(手を回しながら口づさむ)」


この曲はツアーでも演った曲なので、
結局何を発見したのかは全くわからず。
この日は宮本さんの発言の不明瞭さ、
話を尻窄みのまま無理やり打ち切る場面は、
いつも以上でした。

演奏は文句なし。この曲も
盛り上がる。高緑さんのベースの
唸りが武道館を揺らす。


8 .おまえとふたりきり

宮本さんが男椅子に座り、
石森さんのギターがレスポールだったので、
『珍奇男』かと思ったら、これまた
意外な選曲。

宮本さんがジャガジャガとアコギを
長めに掻き鳴らしてから歌いだしへ。
クールで大人っぽいラブソングなので、
若い頃よりも今のほうがシックリきますね。



この映像のように、「いつも揺らめいてる
キミのまなざし」
のところの音程を
変えて歌っておりました。待ってました!という感じの、
個人的な聴きどころ。


9 .精神暗黒街

生演奏は初聴き。
付け足されたイントロと
余韻のようなノイズが絶妙。
蔦谷さんのキーボードの怪しげな
音色と、宮本の声色と上手く調和する
コーラス、どちらも好きです。


10. 季節はずれの男

【前の曲と、どっちが古いか忘れちゃったんですけど。
でも、こっちのほうがやや新しい曲です。
今はなき(東芝)EMIのスタジオで録りました】


ロックの色気に溢れた演奏。傷や弱さを
さらけ出す美しさに涙がとまらなくなりました。

「努力を忘れた男のナミダは汚い」

このラインだけで何もいりません。
『俺の道』からの曲が武道館で
演奏されるのはこれが初でした。


11 .真冬のロマンチック

「外は寒いけど、何だかココロが
暖かくなってこないかい?歌でもどうだい?
オーケー、『真冬のロマンチック』」


新春ライブの定番曲。これもまた盛り上がる。
凄まじくポップな曲に「こうなりゃみんなで
昇天さ」
という日常に潜む非情な死の
足音を歌う詩がのっける宮本さんの才能。


12. 彼女は買い物の帰り道

金原千恵子さんと笠原あやのさんを
迎えての演奏。
「言うのも恥ずかしいんですけど、女性の気持ちに
なって作った曲です。でも、男も女もこんな
風に思って生きていると思います。」


この曲でしか聴けない宮本さんの
歌声があって、金原さんと笠原さんも
エレカシの演奏に負けない、
それを食うような気迫に溢れた
演奏。

13 .昔の侍

曲の入りを若干手間取って
いましたが、武道館に響いた
ストリングスの生音はダイナミック
でインパクトがありました。

宮本さんの美声ぶりが
際立つ1曲。


14 .もしも願いが叶うなら

これも生演奏をはじめて
聴いた曲。詩もメロディも
文句のつけようがない
大名曲。もったいぶらずに、
もっと演ってほしい曲です。

コットンクラブで蔦谷さんが歌っていた
パートも宮本さんが歌っていました。
タバコをやめてから、ほんとうに
声がよく出るようになりました。


「この身さえ砕けて消えろと思わずつぶやいて
笑っちまったぜ 笑っちまったぜ」


このラインに宿る哀感が針のように
胸に刺さる。


15 .シグナル

これは演奏の全てが
記憶に、心に刻み込まれるような
名演でした。バンドとストリングスの
サウンドの溶け合い方、宮本さんの
歌の繊細な抑揚と曲の肝になる
ラインを歌うときの凛々しい絶唱。


16 .あなたへ

ヒラマさんのアコギの音がかなり大きい!
「悩み遥けき 蹴落とす戦いの中で」からの、
冨永さんのドラムはいつ聴いてもいいです。


17 .赤き空よ!

前回の武道館の時から、この曲は化けた
気がします。歌がそれまでと比べ
圧倒的に良くなった。

第一部ではほとんどギターを弾いて、
歌っていた宮本さんもハンドマイクでステージの
端から端まで動き回る。音響装置を仕切る
黒い壁に足を掛けたり、ステージにひざまずくように
歌うなど自由自在。

今のエレカシを空の色であらわすと
夕暮れの赤き空なんですね。そう思うと、
このストレートな歌が尚更染みてきます。


18 .今宵の月のように

「ここ(この曲順)で、この曲を演るのも
どうかと思うけど、でも、ヒット祈願ということで、
縁起のいいこの曲を聴いてくれ!」


聴く度に、好きになる曲です。
「いつの日か輝くだろう」と歌い続けてこその、
エレカシだと思います。
いつも演奏が終わったと思ったところでの、
宮本さんによるアレンジしたサビの弾き語りを
挟んで、バンドで〆へ。


19. 笑顔の未来へ

2日目は宮本さんが泣いてしまいましたが、
この日は歌声が絶好調。
「絶対連れていくよ 笑顔の未来へ」


2008年に世に出たこの曲は、
1988年に世に出た『ファイティングマン』の
20年後だと思っております。


20 .ズレてる方がいい

宮本さんは、ギターをジャーンと鳴らしてから、
「エビバデ!ズレてる方がいい!」
激唱!イントロを長めに演奏して。
間奏では、宮本さんと石森さんが向い合って
ギターを弾きあう。

演奏を静止しての、「ズレてる方がいい」
シャウトはなんと形容したらいいのやら。生き物のような、
宮本さんの分身のような生命力に満ちた空気を切り裂く
轟音シャウト。


21 .俺たちの明日

「第一部、最後の曲です」

2番の前で、ポーズを取りながら
「記念に見てってくれよ!
俺の姿を!」


この曲でエレカシを聴きはじめた人も、
この曲でエレカシに幻滅した人も、
この曲はもう飽きたという人もいると思います。

宮本さんの人生、エレカシの歩みを
凝縮した上で、ポピュラリティを持った
曲に仕上げて勝負した初心の曲として、
大事に歌いたいという気持ちがあるのだと
思います。誘われてくるような一見さんも
少なくないであろう今回は欠かせぬ曲だったはず。


第二部

22. 大地のシンフォニー
「新しい曲を」という宣言の
後に演奏されたのは、3年前に
出たこの曲でした。

この曲も、復活の野音から
急激に化けた1曲。
ヒラマさんのアコギと
蔦谷さんのキーボードが
あってこそ、本領を発揮する曲だと思います。
アコースティックなグルーブの中で、冨永さんのマーチング
バンド風のドラムが存在感を示していました。

宮本さんは身体を蛇腹のように動かしながら、
歌う。


23. Destiny
「レコード、CDでも参加してくれています。
金原千恵子ストリングスチーム」


歌い出しから、一切緩みや淀みを
感じさせずに堂々と響く宮本さんの歌声。

最後のサビでの「時計回りの日々」を
歌うときに、腕時計を眺める動作をしながら、
時計回りにクルクル回るという一度見たら
忘れられない動きをみせた宮本さん。
笑いながら、泣いてしまいそう。

24. 桜の花、舞い上がる道を

宮本さんは最初からハンドマイクで、
ロック歌手稼業に集中。
【取り敢えず行くしかなさそうだ 上り下りの道 ああ
信じて転がるエブリデイ】
のあたりで
涙の滝が決壊してまいボロボロに。

「見ろよ あの大いなる花を!」
最後にアドリブを入れ、開脚ジャンプを決めて、
振り返ると腹部がチラリ。


25. なからん

桜の花とは、打って変わった曲を
やるという内容の宮本さんの言葉から
この曲へ。冨永さんのドラムがあまりに
凄まじかったです。

「我が心 もはや楽しき時なからん」
歌う宮本さんは、昔から何も変わっていない。


26.雨の日も

ドキュメンタリー映画で断片を
聴くことはできましたが、フルでは
初披露。数曲を組み合わせたかのような
大胆な転調がある大曲。音像的にも
新しいエレカシを感じます。

歌詞は永井荷風の『断腸亭日乗』のような
日記調で、ストレートでありながら
過去のものとは似ていない新鮮さが
ありました。

27. 明日を行け

イントロのオケに、石森さんの
ギターが重なって、ツアーで育てた
この曲へ。

宮本さんの歌がCDよりも
遥かにいいです。歌詞の間違い率は
ほぼ100%ですが。石森さんも宮本さんに
呼吸を合わせながらハイトーンコーラスを
重ねていく。終盤では、エレカシだけの
世界を感じる4人が向き合っての演奏がありました。
他の誰もが踏み込めない腐れ縁。

28. 新しい季節へキミと

「新しいスタートです!」という
宮本さんの声から、新年のはじまりに
相応しいこの曲へ。強固なバンドサウンドと
華やかなストリングスが混じりあったイントロの
アレンジを聴いて、桜の花舞い上がる武道館の
1曲目だった頃は、こんなに立体的で生々しい
曲ではなかったことを思い出し涙が。走り回って、
客電のついた会場全体を丁寧に見渡す宮本さん。

「いくつも流してきた涙は輝く明日からのメッセージ」


29. FLYER

宮本さんの「オーケー!トミ!」の掛け声から、
約束の歌へ。

「オレは右へ オマエは左へ
素晴らしい思い感じたら落ち合おう」


2日目は宮本さんに横取りされた
石森さんのソロもバッチリ。
新しい季節から石森さんは
吹っ切れたような弾きっぷりでした。

30. ガストロンジャー


「てめえ(自分)の化けの皮と
キミたちの化けの皮を剥がしにいくって
さっき結論した!」

「キリスト教の聖書にも
孔子の論語にも
トルストイのアンナカレーニナにも
ドストエフスキーの罪と罰にも
その他諸々にも書いてあるぜ!」/b>

「いい顔してるぜ!よく見えないけど!
波動で伝わってくる!」


集中力と緊張感が高く、バンドとオーディエンスの
エネルギーの投げ合いも上手くいった
素晴らしいパフォーマンスでした。

『ガストロンジャー』や『珍奇男』は、
毎回必ず違う演奏になるので何度演っても
いい曲です。


31. ファイティングマン

イントロを弾く石森さんの手を
とめて、宮本さんは「楽しかった時間も、
これで終わり,じゃありません,
行け!」



野音の時のように「自信を全て失っても 誰かがお前を待ってる」を
2回歌う。最後は「うるさい」と演奏を静止させてからの、
「エビバデファイティングマン!」、そして、冨永さんの
絞り切るようなドラミングで〆。


アンコール

32. so many people

武道館がライブハウスに変わるような
盛り上がり。「Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah
Hoo!」の(Hoo!)の裏声も久々に出るくらい絶好調な
宮本さんの喉。

「あらゆるこの世の喜びを あなたと!
あなた!と掴もう」という感じに
歌詞を替えていた気(悲しみを
喜びと間違えて歌ったので、その後の
歌詞をそれに合うように替えていた)が。


33. ハナウタ〜遠い昔からの物語〜

「優しい歌でも、『ハナウタ』でも
演りましょうか。」とストリングスチームを
呼び込んで、予定外のこの曲へ。

いい時も、悪い時も、日常の尊さ、儚さは
変わらないと教えてくれる曲。宮本さんの
表現の多彩さは、ライブやアルバムという
枠の中で豊かなリズムを感じさせてくれます。



ダブルアンコール

34. 花男

演奏の前に、メンバー紹介。冨永さんに対する
パワフルドラマー!バンドの兄貴!という
言葉に涙が。彼には一番厳しいきがするけれど、
応えてくれるだけの存在だという信頼があってこそ。

『花男』〆はやはり爽快。
ベースソロの場面では、「あなたの出番です!
行け!」という風に、向き合って高緑さんをたてるポーズを
みせた宮本さん。

ギターの歪みのような
ドスをきかせたながら伸びていく
宮本さんの歌声は職業
ロック歌手に相応しいものでした。
圧倒的な凄みと迫力と自立した
品格のある唯一無二の歌声。


打ちのめされて、放心状態になるような
ライブでした。ツアー最終日で何にかが
一区切りしたように感じていたので、その次の
段階にエレカシはいるのだと思います。
受け取ったものを大切に抱え続けながら
生きていきます。

最新のエレカシこそが、常に最高の
エレカシだという確信がより強いもの
になりました。今のエレカシが演奏すれば、どの曲も今の
エレカシの曲になっていると終始感じさせられたので、
これはエピック時代の曲だとか、
これはユニバーサル曲だとかいう分け方は
本質的には不必要なのではないかと思いました。
私は『DEAD OR ALIVE』から
『町を見下ろす丘』の頃の、藻掻いているエレカシ
というような姿は、彼らが必死に音楽に
集中することでとっくに乗り越えた過去だと
判断しているので、改めてそういう姿が
みたいとは思いません。今のエレカシは
その頃のような影はないかもしれませんが、
今のエレカシの方が音楽的にも
ロックバンドとしても魅力的に感じます。
常に今を生きるバンドだからこそ、過去の
あらゆるページに、その時にしかない
輝きと説得力が刻まれているのだとも
思います。

宮本さんの声が復活以降、
生まれ変わったように新しくなって、
より変幻自在で予測不可能な歌が
聴けるようになったことを今回感じました。
バンドの結びつきもより強固になっていて、
ソロやコーラスも増えて 、この4人で
やろうという姿勢が具体的になっていて、
これからがより楽しみです。

武道館で聴く、ロックオーケストラ的な
エレカシも、ライブハウスや野音時とは
違う魅力がありました。懐の深いバンドです
エレカシは。

今年こそはアルバムが出る
ことを期待しています。おそらく、3年毎に
オリジナルアルバムを出さないといけない
契約になっているはずですので。
今回みたいな新譜のリリースと
無関係なライブは暫くおあずけかもしれません。
読んでくださって、ありがとうございました。





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# by kaze0929 | 2015-01-14 08:10 | エレカシ

昨年の復活の野音から、さいたまスーパーアリーナ、
春から夏にかけてのフェスやイベント、2年ぶりの
全国ツアーと活発にライブを重ねてきた
エレファントカシマシが、久々に
穏やかな秋の日に開催する、
25年目の日比谷野外音楽堂での
コンサート。選曲的にも内容的にも
これぞエレカシの野音と言う他ない
ステージになる予感をひしひしと
感じておりました。


めったに聞くことのできない、
冨永さんのカウント(舌足らずで優しい声)から、
スタートした今年の野音。おはよう こんにちは
悲しみの果てとシングル
曲を続けて披露。石森さんが奏でるブルージーな
ギターリフに、宮本さんの巻き舌のスキャットが
絡み合うのは、21年ぶりに演奏された、
浮世の姿。荒々しいバンドサウンドに
のせて、宮本さんがドスの利いた声で、
【死ぬ覚悟なきろくでなし】と辛辣に捲したてる。
宮本さんの【もう1曲、古い曲を聴いてください】と
いう言葉から、ひまつぶし人生へ。
美麗な旋律にのせ、【みんな大好きよ。
エセ平和が大好き。】と
歌うと、
野音らしい張り詰めた空気が一層深まっていく。
次はエピック期以外の曲が演奏されるかと
思っていたら、『エレファントカシマシ5』の
曲順どおりにお前の夢を見た(ふられた男)へ
心の襞をつき刺す、繊細な刺のような音像と、
聴きながら立ち尽くすしかないほどに
圧倒的な凄みを湛えた宮本さんのシャウト。
この曲の肝になるのは【仲間とはしゃいだら 
おれはひとりだった】
というライン。
孤独感と悲しみの深さが突き刺さって
くる凄まじい詩。これが【仲間とはしゃいでも 
おれはひとりだった】
だったら
凡庸で取るに足らない曲になってしまう。
宮本さんの繊細で確かなソングライティングを
思い知らされました。

ツアーを盛り上げたアッパーな
2曲、化ケモノ青年(男椅子に
乗って叫んだ【見えますか?わかりますか?
2番」が何ともシュール)と星の砂
(最後に【星の砂ーーーーぁ】と
裏声でワンフレーズ歌い、
美しい余韻を残す)を披露。


太陽ギラギラ見果てぬ夢での
宮本さんの悪魔的を感じるドスと毒をきかせた、
シャウトは唯一無二で、文豪ばりの孤高の詩と
乾いたロックサウンドの融合が見事に
成し遂げられた名演でした。エピックの曲は
野音の空気と実に相性がよく、バンドも
曲の真髄も開花させるだけの年輪を
重ねてきたのだと実感させられます。
続く、珍奇男では、ライブで
やりすぎだと感じていたこの曲への印象が
変わるほど、突き抜けた名演を聴かせて
くれました。石森さん、高緑さん、
冨永さん、それぞれのソロの充実ぶり、
男椅子から立ち上がった宮本さんが
弾く自由なギターソロはかつての
「ez」での映像を思い起こさせる
エキセントリックな凄みがあり、
終わりの予想がつかない真に
ライブな『珍奇音』でした。
この曲は何度も演奏してどこまでも
進化させて欲しい。この曲から
登場した蔦谷好位置さんを
紹介し、1月に亡くなった
佐久間正英さんとエレカシの最後の
接点となった曲、きみの面影だけ(『愛と夢』の
アウトテイクで2009年発売の自選作品集の
収録に合わせて佐久間さんにミックスを依頼)
と、
同じく佐久間さんプロデュースの
真夏の星空は少しブルーを続けて披露。
宮本さんの透き通る高音とメロウな音像が
野音に響く。慟哭のような絶唱をきかせた
月の夜から、エレファントカシマシの
最長曲東京の空
野音では10年ぶりに披露。宮本さんの
弾く、雷鳴のようなイントロ。歌いだしの詩
「ああ街の空は晴れて
ああ人の心晴れず」
通ずる
混沌とした不穏なサウンド。ストイックに韻を踏む
難解な現代詩のような歌詞、あらためて凄まじい
曲だと感じさせられました。エピックの中で
もっとも内に向いた『生活』の曲と、もっとも
外に向いた『東京の空』の曲を間髪入れずに
並べて披露した選曲が見事。

その後は、It's my lifeTonight
starting overとドライブをイメージさせる
ナンバーをたて続けに披露(タイトルを並べて
見ると繋がりがあるようにも思えます)。『It's my life』の
【今居るココがオレのテリトリィ】という
ラインはこの日にこそ相応しい。

ユニバーサル移籍以降のシングルを3曲
披露し、第一部の最後は最新曲、
明日を行けDestiny
終了。蔦谷さんを加えてより厚みと彩りを
増した『明日を行け』のライブ映えぶりと、
「遠回りはもうやめた」とこれまで
以上の確かな意志を込めて歌われた
『Destiny』は野音の第一部を〆るに
不足なし。


第二部は友達がいるのさから
スタート。例年、第二部はシングル曲や
代表曲を数曲演奏するのが定番なので
その心構えでしたら、次に飛び出したのは、
レアナンバーのI am happy
アルバム『good morning』の中でも
特にポリティカルで今の時代に
こそより相応しい内容のこの曲を、
怒号を走らせるように憎々しげに歌った
宮本さん。石森さんのハードなギターと
冨永さんの怒涛のパワフルドラムも素晴らしい。
同じく『good morning』収録の、
ガストロンジャーでは
トルストイとドストエフスキーというロシアの
2大文豪の名も叫ばれた。続く
世界伝統のマスター馬鹿では、
悪ガキのような宮本さんの異次元的な
歌唱と石森さんのエビ反りブルース
ギターの音撃が響く名演。続いては
うってかわって、ポップなハナウタ~
遠い昔からの物語~
が披露され、
この雑多さこそがエレカシだと実感
続く、今宵の月のようにでは、
幅広い楽曲を演奏した後だからか、
宮本さんの歌声に踊っているような
自然な高まりが宿っていたように
感じました。月夜の散歩
ボロボロぶりもご愛嬌。そして野音では
初となる、朝(インタルード)からの
悪魔メフィストへ。現在の
宮本さんを持ってしても、CDの
ようには歌えない恐ろしいキーの高さの
『悪魔メフィスト』でしたが、悪魔を感じる
呪術的なシャウトと打ち込みではない
バンドサウンドによって、独立したライブバージョン
としての必然性が立ち上がるテイクに
生まれ変わっていました。そして最後は
ファイティングマン。何度聴いても色褪せず、
新しいくなっていくバンドのテーマソング。


アンコールは男は行く
『花男』や『待つ男』はライブで
演奏し続けられるにつれ、仲間に
向けた歌という側面を持つようになりましたが、
この『男は行く』は初期のエレカシが持っていた
聴くものを、只々圧倒させるという側面を
保ち続けている曲のように思えます。
さいたまスーパーアリーナでのボロボロの
演奏のリベンジを果たすかのような、
隙のないハードな轟音、宮本さんの
「聞こえるか!」という雄叫び。
立ち尽くして聴き入るしかない最高の
『男は行く』。これは私が観た中では、
もっとエレカシの真髄、エレカシの野音の
真髄を感じたステージでした。
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# by kaze0929 | 2015-01-01 00:07 | エレカシ